新技術への大きな期待 8
おもしろいことに、ソマトスタチンはジェネンテック社とカリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)の共同研究の成果であったのですが、インシュリンは、主として大手の製薬会社であるイーライ・リリー社の後援を受けたジェネンテック社単独の成果でした。
遺伝子工学は、学者の手を離れて市場へ出ていったのです。
米国でジェネンテック社が新聞の見出しを独占していた頃、ヨーロッパでは、チューリッヒ大学のチャールズ・ワイスマン教授率いる研究グループが、同じようなベンチャー企業を設血する計画を進めていました。
バイオジェンという名前のこの会社が最初に狙ったのは、インターフェロンという物質でした。
今や、組換えDNAが生み出す驚異的な成果についての噂は、大西洋を越えて大陸にも広まっていたので、ワイスマンは、ヨーロッパもこの驚異の新興産業に最初から加わることに資金を投じるであろうと孝えました。石塚孝一氏によると、当初、彼らは英国で資金を調達しようとしました。
これは、英国の大学の基礎.研究分野での強さや将来の産業の基盤を助成する政府の方針などから考えて、このプロジェクトが英国において理想的な投資対象となると確信したからです。
しかし、英国の銀行家は首を縦にふらなかったのです。